新着トピックス


カテゴリー


バックナンバー


2008年11月01日 12:00

VOL 17

○なつかしき未来食(DFF)教室(連載9)

 9回目の料理研究会のメニューフォルダのデータの公開です。
研究テーマは以下のコンセプトを中心に、郷土料理の新たな味わいを楽しむものです。



(25)きのこの「のっぺ汁」
(26)ごま豆腐
(27)煮なます

○小千谷のクラインガルテンを訪ねて

 14名のスローフーダーが、「おぢやクラインガルテン・ふれあいの里」を訪れた。うわさの滞在型農園(ラウベ)と日帰り型農園の実情を学ぶためである。この里は、千谷市が平成14年から、6億8500万の予算で開発を進めてきた、過疎対策の切り札的町おこし事業であり、スローフーダーにとっては憧れのライフスタイルのひとつである。
 里に入るとコスモスが咲き乱れ、農作業の人々が黙々と土に向かっている。さっそく管理事務所(市の職員が駐在、管理、運営)の佐藤卓氏(小千谷市農林課参事)から里の概要説明を受けた。


<里の概要>

●滞在型農園(クラインガルテン)

・ラウベ(宿泊施設)付き農園:全30区画
・1区画:300平方メートル/年間使用料:396,000円
・主な設備:ラウベ40平方メートル、専用農園200平方メートル、車庫、エアコン、キッチン、バス、トイレ、ロフト、農機具収納スペース
・ファミリー向けとシニア向けの2タイプ
・年間使用料の外に、水道光熱費、修繕費が別途清算
・最長5年まで延長可能
・小千谷市在住以外の人が対象
・利用状況

●日帰り型農園

・84区画
・年間使用料:9,600円
・1区画50平方メートル
・最長5年まで延長

●管理棟

・木造平屋、鉄筋コンクリート:面積292,64平方メートル
・設備:休養室、トイレ、更衣室、給湯器、事務所、農機具格納庫

●その他

・駐車場:50台分
・整地池:1,200平方メートル
・多目的広場:5,900平方メートル
・周辺整備:5,600平方メートル

●管理、運営、交流活動

・職員2名配置 通年対応
・管理の一部を「おぢやクラインガルテンふれあい組合」の委託 周辺集落住民による組合(会員数50名)で、農業指導や交流会を運営
・主な交流メニュー:山菜採り、盆踊り、収穫祭、雪まつり、蕎麦うち、味噌つくり
運動会、しめ縄づくり、さいの神
以上が里の概要である。

佐藤さんに数点の質問した。


(Q)、住民票を小千谷市に移動する必要性は?
(A)、ない。あくまでも仮住まいの扱いとなる。ただしいずれ小千谷市民として、定住してくれるのを期待している。それが狙いである。
(Q)、よそ者に対する地域住民の反応は?
(A)、当初、馴染めない人が出るかと懸念したが、組合機能が働いて、うまく行っている。不在の場合の畑の面倒も、組合員が循環してみている。
(Q)、冬の豪雪に戸惑いはないか?
(A)、それを見込んで来た人が多く、問題はない。公道の除雪は管理組合がやっている。
(Q)、契約者の募集はうまくやれたのか?
(A)、募集を発表したら、どっと応募がきた。しかし抽選だと知ると、大方の人は諦めて、参加を取りやめたようだ。とりあえず応募しておこうか、というマニアが結構多かった。
また契約した人の分布は、50~60代の都会人がほとんどで80%を占めた。定年後の生き方として選択したのだと思う。ここまま小千谷に定住してくれれば、ありがたいと思う。

 当初心配していた課題は、今のところ発生していないようだ。佐藤さんの苦労話の後は、佐藤さんの案内で、里を一巡した。
 途中、農作業中のご夫婦に声をかけてみた。都会から週末を利用して関越道を通っているという。主人は60歳前後の半農半民の方だ。

こんにちは!と声をかけたら、気さくに畑仕事を中断して、立ち話となった。
 ご夫婦との会話の内容は以下の通り。
応募したらたまたま当選し、田舎出身の奥さんと参加している。
 とりあえず5年間は、このライフスタイルを経験し、次のことはその時に考えることにした。
住まいは2階が居間で、3階を寝室としている。風通りもよく、冬の豪雪も気にならない。
光熱費も管理費もそんなにかからない。
 テレビもパソコンもあるが、普段は余り使わない。日が暮れたら寝て、日が昇ればまた起きる生活のリズムを大切にしている。雨降りの日は農作業を休み、気が向けば小千谷市まで買物に出かける。医療のインフラも整備されており、特に心配していない。
 畑の野菜作りは素人だったが、組合の方が親切に指導してくれ、持て余すほどの収穫となり、子どもたちに送っている。20種類ほどの季節の野菜を栽培できるようになった。これが自慢である。
農機具は鍬、鎌、柵などは自前で揃えた。管理棟に備えてあるが、やはり自前のものがいいから取り揃えた。この鍬も新品だ。
 隣家族とは、頻繁に行き来する。食べものを交換したり、酒を飲んだり、栗や胡桃を一緒に採りにいく。組合主催の様々な催しにも積極的に参加して楽しんでいる。よそ者扱いでいじめられたことは全くない。周辺住民の方々は、みんな親切だ。
 当初は都会とはまるで違う情報過疎や無人の寂しさに耐えられるか,、と心配したが「郷に入れば郷に従う」の例えのように、すぐ慣れた。もちろん週末だけの仮の住まいという気楽さもあるが、シーンという音がする静けさが2人とも気に入っている。もったいないほどの星空の美しさも堪能している。
 時間があるのなら、お茶でも飲んでいかないか、と勧めてくれるご夫婦である。改めて御礼を述べて、また里を探索した。
 うらやましきご夫婦だ。晴耕雨読を地で行っている感じである。こんな贅沢な生き方があるのかと、隠遁暮しの憧れの未来を垣間見た気がする。
 もちろんすべてが良い事尽くめではないだろう。しかし里で出会う人すべてが、コスモスのように優しい眼差しであることに、やはり感動せずにはおられない。何もかも自然と一緒に生きてゆこうとする人々の優しさが心に沁みる。
 この里には、我らが目指すスローな楽園のモデルがあった。それを「なつかしき未来村」という表現で呼んでみたいと思う。
 スローフード運動とは、衣食住すべてが自然と調和して初めて成就できる。そんな発見をしたクラインガルテンの訪問であった。