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2008年08月01日 09:00

VOL 15

○ママたちの食育概論(その12)

(3-18)、小学生の食育教室のつくり方(実践編)

 毎年、数校の小学校から、スローフードの我らに食育教室の依頼がきます。対象は5年生です。総合学習の一環として、カリキュラムに組み入れられています。
 その5年生対象の食育の進め方を以下、公開します。子ども達や担当の先生方に大好評の食育のすすめかたです。
 子ども達と一緒に学ぶ内容は以下の3点に的を絞ります。およそ60分の時間内で行います。

(1)、基本4食(ご飯、野菜の具入りみそ汁、おしたし、焼さかな)の大切さを教える
(2)、ダシの旨さとその秘密を教え、実際にテーステイングする
(3)、正しいお箸の持ち方を体験させる

 食育のやり方は、広範囲にわたるため、あれもこれも組み入れても効果があがりません。最低限の項目で、最強の食育効果をあげることを眼目としなければなりません。それを叶える項目が上記の3点です。長年子ども達に接してきた結果、たどり着いた結論です。
 ではさらに具体的な進め方をお話いたします。まずは(1)です。
基本4食が何故、我らの日本人に合うかを4食の写真を見せながら教えます。もちろん実物を見せると、なお反応が高まります。実際に4品を調理すれば確実ですが、時間がなければ写真の説明で行います。
 この際、難しい栄養学的なことを話しても、子ども達は反応しません。彼らが一番反応する事項は、2点です。

その1、親元から離れた時に、何を食べればいいかと迷う。そんな時は、焼き魚定食を思い出して欲しい。焼き魚定食は最強の健康食であること
その2、基本4食が中心の食事をとれば、良いウンコがでてくる。グルグルウンコ、バナナウンコである。
ファストフーズばかり食べていると、真っ黒なグチャグチャウンコとなり、病気に罹りやすくなる。毎日、朝、トイレで自分のウンコを確かめること

 これだけを話せば、子ども達は自分の身体を守る術を覚えます。おそらく生涯忘れない術です。ウンコをチェック方法にするやり方は、子ども達の好奇心を描きたて、素直な同意が得られます。こうして基本4食で、自分の体の守り方の基礎を覚えます。

 次は(2)です。ダシの味覚教室を実践します。
ダシは以下の3点用意します。温度は室温です。

①、昆布だし(グルタミン酸)
②、かつお節だし(イノシン酸)
③、椎茸だし(グアニール酸)

 まず子ども達に紙カップ(5cc)に入れた3種のダシをテーステイングさせます。そしてその味を短い言葉で表現させます。たとえば次のような言葉が返ってきます。

・ おでんの味がする
・ おばあちゃんの匂いがする
・ 甘いあじがする
・ 不思議な匂いがする
・ 台所の匂いがする

などと、カードに描かせます。この作業が必須です。味覚体験を脳に刻むために必要なのです。味覚は言葉に置き換えてはじめて、記憶されます。
子どもたちの表現発表を終えた後は、ダシの旨さの秘密実験をします。やり方は
    A,昆布ダシとかつお節ダシを同量ずつ混ぜ合わせる
    B,昆布ダシと椎茸ダシを同量ずつ混ぜ合わせる
 以上の2点を、再度、テースティングさせます。「合わせダシ」という旨さの秘密を教えるためです。この体験で、おそらく大きなどよめきが起こります。そして同じようにAとBの味を短い言葉で、表現させ、カードに描かせます。
最後は「合わせダシ」の秘密を子ども達に教えます。
    (A)の合わせダシは、約8倍の旨さに増幅されること
    (B)の合わせダシは、約30倍の旨さに増幅されること
 この増幅されたダシこそが、日本料理の旨さと健康をつくる根源であることを教えます。このダシさえあれば、日本人は脂まみれの洋食の誘惑から解放され、満足感のある食事が楽しめることを覚えます。
 これは日本料理の旨さと健康の秘密を教えることになります。この体験は子どもたちが家族に話すことにより、より広く、深く学習されます。現に子どもたちのレポートにも、それらの事実が書かれています。

最後は(3)です。
 どこの学校でも、20~30%の子どもはお箸を正しく持てません。悲しい現実があります。まずこのことを理解しておきます。
 やり方は割り箸を用意して、まず下記の写真を見せて、要領の見本を示します。この際、子ども達に投げかける言葉に注意してください。正しく持てない事に子ども達は意外と強い劣等感を持っています。
 「君達にも、いずれ恋人ができると思う。そんな時、お箸が持てないと、恋人に笑われるぞ。今、正しくも持てなくてもいい。毎日、少しずつ練習すれば、きっと上手くなるから、がんばってみよう」と声をかければ、子ども達の顔がパッと明るくなります。もちろん時間があれば1人1人をチェックして、持ち方を確認すれば万全です。
 一通り持ち方を確認したら、最後はお皿に豆(大豆、小豆など)を入れて、それを別のお皿に箸で移すゲームをします。30秒間で何個移せるかな、と競わせると、子ども達はワイワイと声を出しながら楽しく挑戦します。これで子ども達のお箸の持ち方がチェックできます。子ども達も自己チェックします。
 またお箸の持ち方から、子ども達の家庭環境も透けて見えてきます。子どもは勉強が仕事などと言って、マナーや躾を教えない無責任な家庭がいかに多いかが分かります。まさに子どもの生きる術を奪っているのが現状です。

 スローフード流の食育内容は以上です。きわめてシンプルですが、奥が深いと自負しています。
 この基本知識をベースに、その後の子ども達は、自信を持って様々な食育課題に取り組んでいくと先先方は言います。子ども達の食に対する関心も、大幅にアップすると報告を受けています。
 自給率問題、郷土の伝統料理、食の安全性、農業体験学習などを学び始めるのです。小学校5年生の総合学習は、こうして実りある1年間を終えます。
 今回は小学校5年生を対象とした食育教室のやり方の報告ですが、幼稚園、中学校、大人対象でも基本的には同じ内容でやります。誰でもが納得し、しかもお金がかからない最強の食育になります。



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〒951-8067 新潟市中央区本町通七番町
石山味噌醤油(株)内
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ママたちの食育学会宛
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