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2008年03月01日 09:01

VOL 10

○ママたちの食育概論(その8)

(3-11)、マクロビ食、免疫食に関する教養

 スローフードの大儀には欠落している部分があります。食と健康という課題です。食の多様性と快楽、伝統や環境の保護は高々と謳い上げているが、人類が最も関心を寄せている「食と健康」の関係を解きほぐす教養の提言には、腰が引けているように感じられる。旨いものを食べていれば、それが即、健康につながるということかも知れないが、それだったら単なる食いしん坊の運動でしかない。
 やはり食の快楽と健康は、同次元で議論をなされるべきです。そんな課題に対する答えの一つとして、「マクロビオティック(マクロビ食)」と新潟大学の安保徹先生提唱の「免疫力を高める食事法」に注目がいきます。
この2つの食体系は、理想の健康食と言われる日本食を根幹としており、日本のスローフードの根幹ともつながっています。この2点の食体系を教養として理解しておくことは、100万の味方を得たことにもなります。そのマクロビ食について理解しましょう。
 マクロビオティック(マクロビ食)とは、玄米や野菜、豆類や海藻などを中心に構成される食の哲学体系の名前です。「大きな視野に立ち、健康に日々生きていくための理論や方法」をさしています。
 この日本古来の食のルーツとなるマクロビ食が、スローフードの影響もあって、急速に広がりつつあります。とくに欧米では400万人もの人々が、実践しているのです。まずマクロビオティックについて、簡単にご紹介しましょう。

 この考え方を提唱したのは、桜沢如一氏です。彼は日本より海外で有名な創始者です。これをさらに欧米に広げたのが久司道夫氏となります。世界的な権威者として、今もアメリカを中心に、運動の輪を広げています。
 このマクロビオティックには、大切な基本が2つあります。
  <その1>、身土不二(生きている場所で、その時採れる食物が身体には一番よい)
  <その2>、一物全体(1つのものを丸ごといただく)
 この2点を実践すれば、宇宙のエネルギーを体の細胞に取り入れることができ、平和で健康な毎日を得ることができるのだと言います。
 さらに食物にはどれも陰陽があり、それをバランスよく取れば、心身ともに健康であると説いています。東洋医学でも陰は体を冷やし、陽の食べ物は体を温めると考えており、同じ考え方に立脚しているのです。
 この基本を具体化する食事が、実は、マクロビ食と呼ばれるものです。しかも玄米ご飯とみそ汁、漬物の3点が食卓に並べば、それでOKなのです。
 主食の玄米ご飯が全体の5~6割りを占め、あとは自分の体調や体質に合わせて副菜をとればいい、というシンプルな考え方です。いわゆる日本食の基本である一汁二菜こそ、世界が注目しているマクロビ食なのです。
 このマクロビ食の対極にあるのが、実は精製された砂糖、化学的な添加物を加えたインスタント食品や加工品です。これらはどれも宇宙の摂理に反しており、体に負担をかけてしまうのです。いわゆる一部のファストフード群がそれにあたります。「中庸」である人間の体と心が、ファストフードでバランスを崩し、生活習慣病の一因と化しているのです。
 ここでマクロビ食のガイドライン(温帯性気候用)をご紹介しましょう。

上記のガイドラインは、肉、卵、脂質などを好む現代人の食体系とはかなりの隔たりがあり、飽食がいかにマクロビから距離をおいているかが理解できます。
さて、その他の留意点として

  1. 出汁は昆布と椎茸からとり、肉やかつお節などの動物性からはとらない。
  2. 地産地消を基本とする
  3. 調理はガス、炭火などがよく、電子レンジは使わない
  4. 玄米を中心とした食材に新しい組み合わせや、調理法を取り入れること
  5. 甘味は穀物、野菜、果物をベースにする
  6. 果物はその土地で育ったものを中心にする
  7. 普段の湯茶には刺激のない番茶、くき茶、玄米茶、麦茶を飲み、調理には湧き水や自然な水をつかう

などがあるが、余り神経質になることはありません。
次は具体的なマクロビ食のメニューをご紹介しましょう。

<主食の玄米ご飯類>
     ○もち粟入り玄米ご飯、玄米もち
     ○黒米入り玄米ご飯、雑穀ブレンド入り玄米ご飯
     ○れんこんチャーハン、カレーチャーハン、黒ごま入り玄米チャーハン
     ○玄米炊き込みご飯、レンズ豆の炊き込みご飯
     ○玄米がゆ、はと麦入り玄米のみそリゾット

<1汁の味噌汁類>
     ○わかめと豆腐とにんじんのみそ汁、根菜とふのりのみそ汁
     ○油揚げとねぎと岩のりのみそ汁、揚げ餅入りみそ汁
     ○納豆汁、白菜漬けのスープ、なめこのスープ
     ○キャロットスープ、わかめ入り玄米ポタージュ
     ○実そばシチュー、のっぺい汁、れんこんスープ

<1菜のメニュー類>
     ○にんじんと高野豆腐のごま煮、ひじきれんこん
     ○ごぼうの味噌煮、きんぴら、ねぎみそ、昆布の佃煮
     ○里芋とかぼちゃのサラダ、切り干し大根サラダ
     ○五目豆、グリーンピースと豚肉の洋風煮込み
     ○いりこと小松菜の炒め煮、ししゃもとパプリカの南蛮漬け
     ○ナスのごま煮、鯖と大根の味噌煮、きのこの焼きびたし

など、玄米ご飯、みそ汁、地野菜を組み合わせた様々なマクロビ食が考えられます。
 さて、ここで気付くことがあります。上記のメニュー例を眺めると、昔から伝わる伝統食や郷土食、あるいはさらに時代を遡った古代食と実によく似ています。ということは、伝統的な日本食こそ、実は世界が注目するマクロビ食の原点だということになるのです。
 新潟の郷土料理の「のっぺ汁、馴れすし、蓮根の小豆煮、ケンサン焼、大海、おふら・・」などの数々は、まさにマクロビ食といえるのです。
 以上のことをまとめると、以下の表になります。

  マクロビ食の基本は玄米食、みそ汁、漬け物を中心とした日本食です。正食とも言われています。主食の穀類(玄米、雑穀類)で5~6割を食べ、あとは自分の体調に合わせて副菜をとればいいというシンプルな食大系です。本格的なマクロビ理論はさて置いて、この食大系のメリットだけを理解し応用すればいいでしょう。
さて次は「免疫力を高める食事」について、考えてみましょう。
 最近は医学的な見地から「食べる免疫力」という研究もすすんでいます。地産地消、一物全体、陰陽思想を、医学的な角度からスポットを当てようという動きです。
 その権威が新潟大学の安保徹先生です。免疫学からみると、自律神経(交換神経と副交感神経に分かれる)のバランスがとれる食事体系こそが健康にとって、もっとも大切だということです。
 安保先生の「免疫力を高める食事法」は以下の通りです。

  1. 丸ごと食品を食べる(玄米、小魚、ごま、豆など)
  2. 発酵食品を食べる(漬け物、味噌、納豆など)
  3. 食物繊維をたっぷりとる(野菜、海藻、きのこなど)
  4. いやいや食品をとる(酢、梅干、苦いもの、辛いものを適量)
  5. 体温を上げる食事をとる(もち米、肉、にんにく、スパイス、栗など)
  6. 適量の水分をとる(1日、1,2Lの補給をする)
  7. 神経質にならず、楽しく、体が要求するものを食べる(玄米でなければなどと頑固にならないこと)

 食べ物には交感神経(陰)に作用するものと副交感神経(陽)に作用するものがあり、そのバランスをとる食事が、免疫学での正しい食事の取り方となります。安保先生の「免疫力アップが実感できる1週間献立」をご紹介しておこう。

<これがお勧めの献立だ!>

以上が安保先生のおすすめ献立です。
 わずか一週間で体がぽかぽかして、玄米の劇的な効果が実感できると言います。しかも魚や肉類も適度に配した、違和感のないお医者様のお勧め献立です。黙って実践してみるのも見識といえます。
 こうなると基本食材はそのままに、あとは献立の組み方や調理の方法、イメージつくりが大切になります。一過性のスローフードごっこに終わらせないような知恵が必要となるのです。以上をまとめると以下の表になります。

資料:「安保徹の食べる免疫力」

 以上がマクロビ食と免疫力を高める食事の教養です。この食体系は「基本の食」(ご飯、味噌汁、おしたし、焼き魚)の応用編となり、食育の根幹をなすレシピとなります。
 またこれらを新しき形で次世代につなげていく活動として、「スローフード・にいがた」は「なつかしき未来食」の研究会を立ち上げています。そして「基本の食」を「広く、深く、新しく、美味しく見せていく」ための食の伝道師の養成にも力を入れています。
「スローフード・にいがた」がやっとたどりついた、スローフード運動のあたらしき形とも言っても過言ではありません。この「なつかしき未来食(DFF)」については後日、論じることにいたします。


○新潟県の漁業と魚食の実態

 1月19日のママたちの食育学会に於いて、新潟県の魚資源の講座を受けました。講師は新潟県水産海洋研究所所長の板野英彬氏です。講師の論点は以下の通りです。スローフード運動に関係する論旨だけ抜粋してレポートいたします。
○新潟県の漁業生産額(属人)―147億円(近年の平均)
                     このうち養殖業は約5億円(3,4%)
○新潟県の漁業生産量(属人)―約482万トン(近年の平均)
                     この内養殖業は約2、4万トン(5%)
   ○マイワシがH2年を境に、5分の1に激減している。その原因はまだ解明されていない。マイワシはハタハタと同様に、絶滅種の危機にある。下記の表参照。
   ○魚離れが起こっており、特に子ども層で顕著。全体としてはH17年で94g(人日)の魚食と減少に歯止めがかからない。その分肉類が増加している。
   ○魚離れの原因は様々あるが、同居の家族が好まないからが一番多い。親は食わせたいが子どもが食べないというジレンマがある。
   ○魚の新潟県産の地産地消率は5,7%である。魚が豊富だと自負していたが、現実はお寒い限りである。
   ○新潟県の漁獲高の新潟県漁連のデーターは以下の通り。

○新潟の季節を代表する魚

季節
魚名
ヒラメ 真鯛
するめ烏賊 白キス 太刀魚 うすメバル、真鯛、さざえ
秋鮭、鯖、真鯵、紅ずわい蟹
ヤリ烏賊、蛸、やなぎ鰈、はたはた、ずわい蟹、鮟鱇、すけとう鱈、鰤

以上が新潟県の魚事情です。地球の温暖化の影響で、寒鰤漁にも異変が起きているのは周知の通りです。
 一方、世界の魚資源に目をやると日本には都合の悪い現象が起こっています。中国や西欧の魚食需要が増えて、輸入に異変が起きているのです。セリ負けするケースが多く、価格も高騰しています。魚民族の日本の将来は決して明るくないというのが、板野講師の感想でした。
 子ども達に魚の絵を描かせると、新潟の子ですら「刺身」の魚を描くという笑い話にもならない現実があります。ぬるぬるとして気味が悪い、生臭いなどと魚を敬遠する子も多いと聞きます。
 しかしこれらは魚に触れたことのない未経験が原因です。体験学習に魚釣りとその料理を取り入れた学校の子どもの魚嫌いは、激減しています。
 さらに子ども達の握り寿司教室では、目を輝かせた子ども達に出会います。子ども達は魚が嫌いなのではない。大人が嫌いにさせているのだと云う気がします。
 スローフードならずスローフィッシュに関わる問題が深刻であることを、今回の講座で改めて認識させられました。



当学会講座に参加希望の方は、下記までお問い合わせください。

〒951-8067 新潟市中央区本町通七番町
石山味噌醤油(株)内
「スローフード・にいがた」事務局
ママたちの食育学会宛
電話:025-228-9462