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2007年10月01日 21:33

VOL 4

○古代米ブランドにかける山谷棚田の人々

 9月中旬、小千谷(山谷)の佐藤一雄さんの田んぼは真っ赤に染まる。古代米が収穫の時期を迎えるからだ。天気がいいと、さらに真っ赤になると佐藤さんはいう。
 コシヒカリさえ作っていればある程度の収入は見込める魚沼地区で、あえて古代米に挑戦するその意図を尋ねてみた。
 「他人と一緒のことをやっていては、村は食っていけない。魚沼のコシヒカリが幾ら高値で売れようとも、それは将来を保障してくれないから、今のうちに村全体の価値化を計っておこうと思うだけだ。そんな気概の仲間が集まって、山谷棚田グループを立ち上げ、スローフード運動にも携わるようになった。幸いスローフードの仲間が、収穫する古代米を契約購入してくれるから、やる気も起きてがんばっている。最近では古代米を原料としたブランドが商品化され、生産者としては遣り甲斐が生まれてきた」と答えが返ってきた。
中越地震にもめげないで、佐藤さんのグループは小さいながらも、村のブランド化を夢みて今日も田んぼを見回る。したたかな百姓一揆とでも言えそうな気配が漂う。



黒紫米の稲穂

 その古代米とは、消えゆく恐れのあるインディカ種の細長い米である。脱粒が多く、収穫量が採れない米とされ、一般的には4種類ほどが有名だ。

  1. 黒紫米(黒米と呼ばれている、米の原種に近い)
  2. 赤米(赤飯のなごり米)
  3. みどり米
  4. 香り米(麝香の香がする)

 古代米は「神様の赤米」「皇帝の黒米」として、昔から大切に扱われてきたお米だ。とりわけ黒米は栄養価が高く、長寿米として珍重されてきた。「幻の米」の異名をもつポリフェノールが豊富なお米なのだ。
 食べ方は、いつものお米に1~3割の古代米を混ぜて、いつもの通りに炊き込むだけで、赤飯のような真っ赤なご飯になる。黒米は美しい紫色に、赤米はあづき色に炊きあがり、ごはんがさらに美味しくなる。また、古代米を粉に挽くとクッキーやパン、麺などへの用途が広がり、地域おこしのブランドとしてはおもしろい食材となる。
 しかしそれだけにこの古代米は止まらない。「スローフード・にいがた」の仲間が古代米を様々に加工し、付加価値をつけているのだ。いわゆるスモールビジネスが始まっている。
その展開は以下の通りである。

  1. 古代米の日本酒―ワインのような紫色のお酒。北雪酒造が製造。石山味噌醤(株)が、独占的に販売している。好評だという。


  2. 古代米のおむすび―お食事処「竃家」での人気メニュー。5の付く日のみ、販売し ている。


  3. 古代米の大福餅―山谷グループが製造販売。草もちと同様のファンがいる。


  4. 古代米の味噌と酢―石山味噌醤油(株)が製造販売


 農家の佐藤さんたちの山谷棚田グループ(8名)は、この古代米を起爆剤にして、「古代米の里」としての村起しの夢をみている。牛の角突きも盛んな土地柄であり、まんざら実現不可能というわけでもない。
 となると佐藤さんが、さしずめ古代米の里の酋長ってことになる。縄文式の囲炉裏小屋が、酋長の住処である。
 コシヒカリ偏重の小千谷地区から、卑弥呼の古代をイメージさせる新しい試みが始まろうとしている。小千谷のこの棚田全体が、夕日に真っ赤に染まる日が来るのを念じて、棚田を後にした。古代米の里からのレポートである。