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2007年10月01日 21:46

VOL 5

○ママたちの食育概論(その3)

 先月号に続いて、食育について論じます。今回は旬の料理のつくり方と食べ方について考えることにいたします。

(3-4)、新潟の家庭料理カレンダーに関する教養

 旬の食材を美味しく、楽しく料理する新潟の家庭料理カレンダーをご紹介します。以下の表です。旬の食材をうまく取り入れた食卓の知恵があふれています。代表例の34メニューが年々歳々、絶えることなく繰り返されています。

<新潟の家庭料理・歳時記>

 以上の表で新潟の代表的な料理はおよそイメージできます。旬の食材を生かし、さらに伝統の味付けや調理法をうまく組み入れていることが分かります。新潟の人々は、こんなうまい物を食べているのです。今更スローフードなどと、目くじらを立てることもないのかも知れません(笑い)。
  さて次はどのくらいの量の食事を、食卓にのせればいいかということになります。1日、何を、どれくらいという目安に多くの主婦は頭を悩ませています。その教養についての一つの具体的な考え方をお話し致しましょう。
  まずどのくらいの量の食事であればバランス的にも優れているかという課題です。その場合は手のひら秤というやり方が重宝です。その目安を以下の表にまとめました。



 ご馳走を食べる食卓では、何をどれくらいなどという厳密な量り方はしません。お皿に盛る場合も同じです。しかも器具などを利用するやり方も現実的ではありません。
 こうなると個々の身体に合わせた個々の食の量を、簡単に目安できる知恵が必要です。それが手のひら秤というやりかたです。古くから使われてきた方法の一つです。

 日本の栄養学はドイツからの輸入品だと言われていますが、民族の食性を考えた場合は、ドイツメソッドをそのままに鵜呑みにするのはいただけません。
  その点、この手のひら秤の方法は、まさに日本人の食性に適っており、身近に身に付く方法であり、多くの主婦に是非、使ってほしいと関係者は念願しています。教養としては高度なレベルといえるからです。
  最近は政府がすすめる「食事バランスガイド」なる手法も定着してきました。子どもにも理解できるようなやり方です。
  「何を、どのようにして、どれくらい」という、もっとも基本的な教養が「食育」の号令で、市民レベルまで定着してきたことは、まことに喜ばしい限りです。

(3-5)、美味しさの秘密に関する教養

 ファストフードは魔性の味の開発にやっきになっています。一度口にしたら病み付きになる味です。しかも幼児期に、その味を覚えさせれば、生涯のリピーターとすることも可能となります。大手ハンバーガー店が経営の骨格にしてきた「刷り込み」という魔性の処方箋です。  
  その味の工業化に異を唱えているのが、スローフード運動です。味覚の画一などもってのほかだというわけです。しかもその魔性の味の正体が、徐々に最近明らかにされてきました。以下の内容です。砂糖、油、だしの組み合わせがその謎の正体です。



 かたや人間は「塩」「砂糖」「油」を本能的に好み、上記の3つに塩を加えればたちまち魔性の味をつくり出すことになります。さらにこれらの成分(だしを除く)は、取りすぎると生活習慣病を引き起こすから厄介です。しかもこのことを理解していても、魔性の味に手を染めるのが人間の性である。わかっているけど止められないのです。
  ここで我ら人間の食に対する関係を整理して理解しておきましょう。人間には食に対する快楽と欲望(嗜好食)があり、身体に良い食だけを口にするのでありません。
  この2つのバランスを自らとる教養を、「食事力」「食選力」などと呼んでいます。図に示すと下記のようになります。食の2階建てピラミッドといいます。

  人類はこの二者択一のハザマで、食と向かい合ってきたのです。したがって体に悪いからと言って、快楽の食を否定することはできません。
まさに「生きるために食うのか」または「食うために生きるのか」というジレンマが我らには生涯つきまとうのです。この哲理をしっかりと教養として身につけておかねばなりません。

(3-6)、子どもの発達段階と食に関する教養

「三つ子の味は百までも」という確かな教えがあります。人間の味覚教育の原点となる人類学的な知見です。子どもの食育には、発育の段階に応じた対処が必要であることは、言を待ちません。まずその子どもの発育・発達段階に応じた食べものに関する特徴をみておきましょう。

 小中学校の家庭科のカリキュラムは、おおよそこれらの背景を踏まえた内容になっています。念のためにざっと食に関するポイントだけを拾うと、次のようになります。

  1. 基礎的な味覚形成は3歳前後までになされること。ダシ味の刷り込みも同じ時期に行われる
  2. 正しいお箸の持ち方は、3歳から5歳までに身に付くこと
  3. おおよその味覚形成と食への関心は、小5年生までに養われること
  4. 思春期と共に回りや社会とのかかわりに、食の関心が広がっていくこと

 などなど、以上の基礎教養があれば、子どもたちへの食育活動にも「無理せず、あせらず、怠らず」の態度で接することができます。子どもは食と共に成長するという実感を理解しておきたいのです。

 さて次は子どもたちの食卓の風景や欠食について考えてみましょう。最近の家庭の食卓は荒れていると、多くの人々が指摘しています。
  食生活の乱れは深刻で、栄養の偏りや朝食の欠食をはじめ、ファミコンをやりながらのソーダ水やスナック菓子の取りすぎ、箸を満足に持てない子どもの増加など、危機的な状況が増えています。「キレる子ども」が増加しているのも、食生活の貧困が大きな原因であることが分かってきました。
  その諸々を表現する食卓の風景をとらえた言葉があります。「コ食」といわれるものです。しかも「コ食」にもいろいろあります。
代表的なものとしては

  • 「個食」―バラバラ食ともいう。家族が揃っていても、おのおのが違うものを食べることを指す
  • 「孤食」―ひとりご飯ともいう。家族との会話もなく、精神的な成長も阻害される。食生活破壊の元凶ともなる寂しい風景
  • 「粉食」―ラーメン、うどん、パスタなどの粉を使った主食を好む食卓
  • 「小食」―食べる量が減ること
  • 「固食」―自分の好きなものだけを固定して食べ続けること
  • 「糊食」―噛むことを嫌い、柔らかいものしか食べないこと

 とくに問題となるのは、増え続けている「孤食」です。人類が家族で食卓を囲むことを礎として進化、成長してきたことを考えると、まさに孤食は人類に対する破壊行為です。大げさな表現ですが、それに異を唱える人はいないでしょう。
  もちろん家庭の事情で、「家族団らん」などと言う言葉はもはや死語となっており、それを咎めても何の解決にもなりません。忙しすぎる両親を追い詰めても、子どもの孤食問題は改善されるわけではありません。
  ならば意識的に「家族の団欒をつくる」ことを考えないといけません。もはや「死にものぐるい」で団欒をつくるしかないのです。1年で平均50回ほどと言われている「家族だんらん」を、「我が家の食育の日」と決めて、徐々に増やしていく努力が要るのです。この大切さを社会全体の運動として知らしめていくのが、食育の責務だと断言できます。
  日本国の名において「家族団らんの日」を設けてはいかがでしょうか。お上の押し付けだと反対する人も居るだろうが、日本の家族が仕事の手を一斉に休めて団欒する日となるのだから、公休がひと日増えたと思えばいいでしょう。
  次は欠食について考えてみましょう。「早寝・早起き・朝ごはん」が、子どもの成長に抜群の効果があることが最近発表されましたが、特に朝食は欠かせません。きわめて重要です。
  毎日朝食をとる子どもほど、学力も運動能力も10~15ポイント高いことが証明されました。こうなると親達の目の色も変わり、成績が上がらないのは学校の教えが悪いからだと文句を言っておれなくなるのです。 念のためにそれらのデーターを挙げておきましょう。

 食育がこれだけ注目されだしたのは、医療費の削減という国の思惑もさることながら、正しい食生活が子どもの成績、いわば将来を左右することが分かり始めたからです。身近な効果が期待できることが、大きなモチベーションとなっているのです。
  もちろん朝ご飯を食べれば、全員の子ども達の成績が、確実にアップする、ということではありません。しかし可能性が高くなります。
  朝ご飯を準備するほどのしっかりした家庭の子ならば、成績が上がるのも当然なのです。この辺を誤解のないようにしておきたい。「早寝、早起き、朝ご飯」というシンプルな掛け声の中に、実は食育の本質が潜んでいるのです。




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