2007年07月01日 08:12
新潟から「ママたちの手づくり食育学会」が立ち上がり、その第1回目の市民講座が始まりました。今回は松島欣子氏と村山靖子氏の「食事のマナー概論」です。
和食を美しく食べるための基本マナーを考えてみましょう。いろいろな決まりごとがありますが、日本人としての嗜みとして、身に付けておきたい教養となります。
また食事のマナーは、ただ食べるときの美しい仕草だけでは成り立ちません。外形や動作の美しさと共に、栄養バランスの取れた食事による内面からの健康作りも含まれます。
料理を作る人、それをサービスする人、そしてそれを嗜好するお客の3者が、夫々の立場で守らなければならないルール、それがマナーです。
今回はそれらのマナーの基礎教養をお話いたします。
伝統的な和食は一般的に、以下の3点に分類されます。
①、会席料理
②、茶懐石料理
③、精進料理
この3点のマナーは基本的には同じですから、会席料理に対処するマナーについて、お話して参ります。
会席料理は、冠婚葬祭を始めとする宴席でもてなされる代表的な料理文化です。お酒を中心とした配膳になっており、料理は脚のない会席膳にのせて出される場合と、卓上に直接食器を並べる形式があります。
料理は一汁三菜が基本です。三菜は刺身、煮物、焼き物のことで、必要に応じて品数を増やしていきます。一汁五菜、二汁七菜などと夫々の事情に応じた組み合わせを行います。
会席料理は本膳料理の流れを汲み、最初からある程度の料理を並べる場合もあれば、懐石料理のように間をおいて一品ずつ料理を出す場合もあります。要は、最適な条件を考慮した演出とサービスが和食をもてなす場合の教養となります。
さて会席料理を構成するメニューとその流れをみてみましょう。

食べる順序はまずご飯を口に入れ、続いて三菜を随時口に入れて、ご飯と混ぜ合わせて口中調理するのが和食の美味しい食べ方です。汁物はその口中調味をスムースにする役目を持っています。
西洋料理と徹底的に違うのは、この口中調味という食べ方です。日本民族が健康なのはこの食べ方にあります。デリケートな食感を大切にする民族の知恵とも言えましょう。
さて和食の基本的な献立と流れが分かったところで、それを美しく、美味しくいただくためのマナーに付いて、お話いたします。
まず食事中のマナーに付いてです。次のようなタブーがあります。皆さんも身に覚えがあると思います。
等などです。
これらのマナーは本来、家族間の躾や伝承として、伝えられてきた教養ですが、その伝承ですら成されていないことに、危機感を抱いています。
ただしマナーに神経を尖らせてばかりいると、肝心のご馳走が美味しくありません。
マナーの基本は、同席者に不快な思いをさせることがないように心掛けることです。
親しい中にも礼儀ありです。それさえマスターすれば、あとは食卓を楽しむことが極めて大切です。
和食のマナーは、いわば皆が美味しく食べるための基本ルールだと考えれば、先人の知恵のすばらしさが身に染みて参ります。
とくに箸の正しい作法には、その人の人格まで透けて見えますから、是非伝承すべき文化だと言えます。和食のマナーは箸使いに始まり、箸使いで終わると言われています。その箸使いのマナーに付いてお話いたします。
<箸の正しいマナー>
箸は毎日使うものです。箸を取り上げる場合、正しくは両手を使って、以下の図のように三手で取り上げます。箸を置くときは、その反対の動作を行います。
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右手で箸の中央よりやや右あたりを上から取り上げます |
左手で下から軽く支えるように添えます |
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右手を右方向に静かにすべらし、下に回して持ち替えます |
左手を離して、これが正しい持ち方 |
資料:インターネット「お箸の使い方」より
箸の正しい持ち方は、下記の形をとります。
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正しい箸の使い方◆ |
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下側の箸を薬指と親指で挟むようにしっかり固定し、上の箸を人差し指と中指と親指の先で軽く挟みます、食べ物をつまむときは中指と人差し指の二本で箸を動かし、親指は添えているだけです。 |
資料:インターネット「お箸の使い方」より
<箸使いのタブー>
日本人はお箸の民族です。これは世界に誇るべき文化です。しかしそれだけに守らなければならないルールがあります。その代表例を列挙しておきます。
箸使いのタブー◆ |
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迷い箸(まよいばし) |
どの料理を食べようかと箸を持ちながら器の上で行ったり来たりすること |
迷い箸(まよいばし) |
どの料理を食べようかと箸を持ちながら器の上で行ったり来たりすること |
探り箸(さぐりばし) |
好きな物ばかり食べようと他の物を箸で動かしたり、引っぱり出したりすること |
移り箸(うつりばし) |
次から次へと料理に箸を付けること |
舐り箸(ねぶりはし) |
最初に箸を舐める、又、箸に付いた料理を舐め取ること |
空箸(からばし) |
箸を一度料理に付けたのに、その料理を食べないで箸を置くこと |
握り箸(にぎりばし) |
右手で箸を2本揃えて握り、同時にその手で器を持つこと> |
刺し箸(さしばし) |
煮物などの料理を突き刺して取ること |
指し箸 |
箸を持った手で人を指すこと |
涙箸(なみだばし) |
箸先やつまんだ料理から、たれや汁をたらしたまま物を取ること |
寄せ箸(よせばし) |
箸を使って器を引き寄せたり、動かしたりすること |
込み箸(こみばし) |
口に食べ物をいっぱいに詰め込み、箸で押し込むこと |
合せ箸(あわせばし) |
他の人に料理を渡すとき、互いの箸と箸とでつまみ合いすること |
渡し箸(わたしばし) |
器の上に箸を渡しておくこと(もう結構ですという意味があります) |
くわえ箸(くわえばし) |
箸を下に置かず、口にくわえたまま食器などを手に持つこと |
箸は日本人には無くてはならないもの、そのため、昔からのタブーというものが存在します。 |
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資料:インターネット「お箸の使い方」より
この箸の使い方は幼児の3歳から5歳までに教えねばなりません。現在では、5割近くの子ども達が箸の持ち方や使い方を知りません。若い教師も3割ほどその傾向があります。
日本の食の乱れは、箸の文化の乱れからきていると言われていますが、まんざら誤報とは言えません。スローフード運動は、その辺を危惧して活動しています。
さて最後は、座席のつくり方についてお話しておきます。日本の座席では、以下のように床の間が上席になります。出入り口のあるほうが下席と覚えておけばいいでしょう。

お客様へのマナーとして、この座席の位置には留意いたしましょう。
子どもたちの食育食事マナーについて
管理栄養士 村山靖子
学校栄養士の仕事に長年携わってきた立場から、食育と食事のマナーについて、お話いたします。家庭の食の崩壊と共に、子どもたちのマナーにも異変が現れております。その辺を踏まえて、食事のマナーの基礎教養をまとめてみました。
私たちが社会の一員として、楽しく生きていくためには、最低限守らなくてはならないルールがあります。特に食事や食卓における作法は人類共通のルールとして、古今東西において、大切に議論され守られてきました。 そのマナーとは
学校給食の場面で、以上のイラストのルール違反が多く現れています。もちろん家庭の食事風景にも当てはまります。
私たちが普段何げなく使う言葉に、「いただきます」「ごちそうさま」があります。親や先生から教わった言葉です。この言葉(挨拶)には、以下の崇高な感謝の祈りが込められております。
学校給食での「マナー」について、子どもたちへのアンケートで一番多かったのは、「いただきます」と「ごちそうさま」の言葉でした。栄養とか、献立の由来を教えることよりも、この二言が子どもたちの心に響きました。
誰からも教えられていなかった教養だったのです。
献立の内容を理解して食べることが、マナーの向上にも繋がります。分かって食べるのと、そうでないのとは大違いです。
特に学校給食では、事前に献立表が保護者にも配られ、給食時にもその品目が正しく子どもたちに知らされることが大切です。献立の向うに見える様々な情報が、食事を楽しくし、マナーの大切さを子どもたちに教えることができます。
学校給食だけではありません。料理屋、レストラン、居酒屋、機内食などでも「本日のメニューは×××・・でごさいます」と解説があれば、俄然食卓が楽しくなります。皆さんもこのような経験がおありだと思います。
スローフード運動は、この「分かって食べる」ということを非常に重要視しています。ただ無関心に食べることだけでは、食事は栄養にもならず、マナーも育たないからです。
この事前に知らしめるという食卓の作法は、古くから行われてきました。日本では禅林で12~13世紀に、献立表が使われ、食事の際に周知されたという記録があります。作法に関しても同様な教えを大切にしていました。
その代表例が「赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)」です。お粥やご飯を頂くために、食堂に赴く法という意味です。道元禅師が1256年に永平寺で撰述したと記録されています。
禅林に修行する者の一日の食事に関するあらゆるルールを指し示した教書です。
この中で食前に合掌して唱える「五観之偈」(ごかんのげ)は、日本人の食事作法の原点と言われています。
以下の書がそれです。永平寺で精進料理を頂いたとき、修行僧から頂戴したものです。
もちろんこの教えに沿った毎日の食事は、現実の私たちには達し得ない心構えですが、たまには静かに食卓に座して、この禅師の教えに帰依することも、日本人としての嗜みだと考えていいと思います。
洋食のマナーについて、その基本だけをお話いたします。和食と同様に、洋食の食べ方にも民族が築き上げてきたマナーがあります。フランス料理、イタリア料理など様々な食卓に出会いますが、基本的なルールは「食事を一緒にする人に対する心くばり」にあります。他人に迷惑をかけたり、不愉快な思いをさせないためのルールだとお考えください。
(5-1)ルール違反の例 次の行為はルール違反です。
その他のルール違反例を挙げておきます。
(5-2)ナイフとフォークの使い方
食事にナイフやフォークを使うようになったのは、18世紀以後のことです。それまでは、わしづかみで食べるのが普通でした。 ヨーロッパの食器は皿が中心です。歴史も浅いが、フォークとナイフのマナーは夫々の食卓事情により、精錬され進歩してきました。 まず代表的なテーブルセッティングの形をみてみましょう。
次はナイフとフォークの使い方を見てみます。 ナイフとフォークは出される料理の順番に、外側から内側に向かって並べてあります。したがって、ナイフとフォークは外側においてあるものから順にナイフは右手、フォークは左手で使います。
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食事中は八の字に |
食べ終えた時は斜めに揃えます |
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フォークを左手、ナイフを右手で、刃先は下に構える。ナイフは料理をフォークに載せるために使う。 |
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フォークで料理をしっかり刺したら、ナイフで静かに引きながら切っていく。八の字をくずさないように食べていけば、きれいな食べ方となる。 |
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口を軽く押さえたりするために使います。タオル代わりには使いません。 |
食事を終えて席を立つときは、軽くたたんでテーブルの左側に置きます。 |
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パンは丸かじりしてはいけません。 |
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スープ皿のスープが少なくなった時は、皿の手前の縁を持ち上げて、向う側へ傾けてスプーンですくいます。 |
ティカップのスープは、取っ手を持ってそのまま飲むか、スプーンを使って飲みます |
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飲み終えたスプーンは |
敷皿がないときは皿の中に置く |
食卓のマナーは他者への思いやりが基本になります。数例の心配りをお話いたします。
マナーとして忘れがちなのが、食事の際の衣服の清潔さと手洗いです。そして食後の後の歯磨きや口ゆすぎの励行があります。
食事の前の手洗いも、下図のように正しく励行することをお勧めいたします。

食後はできるだけ早く歯磨きするか、ぶくぶくの「うがい」だけでも実行することが大切です。
ただし爪楊枝の使い方は、回りの人を不愉快にする可能性があり、遠慮するのが無難です。爪楊枝で百年の恋が冷めたという例もあります(笑)。

姿勢よく食べることは、食べ方の大切な基本のひとつです。姿勢が悪いと、肘が曲がりすぎて、箸やナイフ、フォークが正しく使えません。
さらに丸めた姿勢は、胃腸や心臓、肝臓を圧迫して、食べものの消化吸収を悪くします。
洋食を食べるときの基本的な姿勢の形を下図に示しておきます。家庭での食卓でも、
行儀の悪い姿勢には、躾という教育がなされるべきです。そんな基本的な伝承すらなくなっている、私たちの食卓風景を見直すとことは、もはや食育以前の課題だと思われます。

筆者は学校栄養士として数十年を過ごしてきました。その間、子どもたちに対する様々な学食のあり方を模索して参りました。
今でこそ、国を挙げての国民運動として「食育」が取り上げられ、行政、生産者、食品関連業者が一体となって推進していますが、当時は、食育の必要性すら話題にもならなかった時代でした。
したがって教師、給食センターの職員、栄養士などがそれぞれの立場で任務をこなしていたというのが実情です。
この現場経験の中で、一つだけ核心を突いた校頭先生のお言葉が忘れられません。
「家庭でも教えられない、学校でも教えないでは、一番可哀相なのは、子どもたちなんだよ」」という、一言です。
この一言が、食を通しての教育と人間つくりのすべてを表していたのです。今で言う「食育の理念」そのものでした。
そしてその言葉に突き動かされるように、様々な試みを企てたことを思い出します。学校栄養士として何が出来るのかを自問自答して参りました。
また次のことの大切さも学校栄養士として、常に念頭におきながら、子どもたちに接して参りました。
無垢な子どもたちは、学食を通しての様々な知識や栄養などは、すぐに染み込むように吸収していきます。そしてそれが将来の「生きる術」となっていきます。
最後に食事のマナーも食育基本法も、すべては子どもたちのためにあることを忘れてはならないと肝に銘じて、今後も微力ながら管理栄養士としての使命を果たしていきたいと念願いたします。
当学会講座に参加希望の方は、下記までお問い合わせください。
〒951-8067 新潟市本町通七番町
石山味噌醤油(株)内
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